自己破産すると起きることと起きないこと
「自己破産するとどんな影響があるの?」
と多くのご相談があります。
自己破産すると、借金をゼロにできますが、すべての支払いを免除する手続きではないため、税金や罰金の支払いや養育費などの支払いは続ける必要があります。
ただし、自己破産には多くの誤解もあって、海外旅行ができなくなったり選挙権がなくなることはありません。
自己破産を誤解して借金を放置してしまうと、財産を差し押さえられる大きなリスクがあります。
誤解せずに安心して手続きできるように、自己破産をすると起こる影響についてくわしくお伝えします。

個人再生の費用もくじ(メニュー)
- 1) 自己破産すると処分されるもの
- 2) 自己破産後に免除されること、されないこと
- 3) 自己破産後にできること、できないこと
- 4) 自己破産をすると起こること
- 5) 自己破産後の家族への影響
- 6) 自己破産後の生活はどうなるのか
自己破産すると処分されるもの
自己破産を申し立てた人に財産がある場合、一部を除いた財産は値段を見積もって処分する換価処分をされます。
処分対象となる財産には、主に預金や持ち家、貸主に預けた敷金や保証金、自動車や生命保険の解約返戻金、給与の一部、退職金などが挙げられます。
預金
預金口座を利用している人には、銀行に預けているお金を引き出す権利(預金払戻請求権)がありますが、自己破産では預金払戻請求権も処分の対象です。
そのため、自己破産をすると口座は解約となって、預金口座内のお金は財産の管理・処分をおこなう破産管財人によって債権者へ配られます。
ただし、口座内に残高があるからといって必ずしも処分されるわけではなくて、預金額や裁判所の判断によっては、処分されない自由財産として手元に残すことができるケースもあります。
仮に預金が処分対象となって口座が解約になってしまっても、自己破産後には新たに口座を持つことができるので、再び銀行にお金を預けることは可能です。
持ち家
自己破産では原則、持ち家は処分しなければなりません。
持ち家の価値によっては処分しないケースも稀にありますが、ほとんどの場合で現金化されて債権者への配当にあてられるので、持ち家を残しておくことはできません。
借家・借地
家や土地を借りる際、敷金や保証金を貸主に預けることが多いですが、敷金・保証金は契約が満了した際に借主に返還されます。
将来的に戻ってくる財産ですので処分の対象であって、敷金を回収するために住んでいる部屋が解約になるケースもあります。
自動車
財産にあたる自動車は原則的に処分の対象なので、破産管財人によって換価処分されて債権者への配当に充てられます。
ただし、カーローンの支払いが残っている場合は、ローンが完済されるまで所有権がローン会社にあるので、ローン会社に引き上げられるケースもあります。
自己破産では、処分や引き上げの対象となるので、基本的に自動車を残しておくことはできませんが、年式が古くて資産価値が低い場合は処分されずに残る場合もあります。
生命保険の解約返戻金
解約返戻金とは、生命保険を解約にしたときに保険会社から戻ってくるお金ですが、解約返戻金も換価処分の対象となります。
自己破産をすると、解約返戻金を回収するために生命保険を解約しなければならないこともあります。
自己破産の後、再び生命保険に加入することは可能ですが、自己破産をする前に比べると審査は通りにくくなります。
給与(最大でも4分の1)
自己破産では会社から支払われる給与も処分の対象です。
破産の手続きを開始した時点ですでに給与を受け取っている場合、現金で保管しているなら現金、口座に入っているなら預金として処分の対象となって、まだ給与を受け取っていない場合は、最大で手取りの4分の1が処分の対象になります。
ただし、給与のうち手元に残せる額には上限があります。
例えば東京裁判所だと、給与のうち手元に残せる額は33万円までとしていて、33万円を超えてしまう場合は超過分を処分しています。
退職金
自己破産では、退職金も処分の対象です。
ただ、退職金を受け取っているか、退職しているが退職金をまだ受け取っていないか、退職の予定がなくて現在でも働いているかによって退職金のうち何割を処分するかが変わります。
すでに退職金を受け取っている場合は現金や預貯金として扱われるので全額、退職しているが退職金をまだ受け取っていない場合は退職金のうち4分の1が処分されます。
退職の予定がなく現在も働いている場合は、退職金の支給見込額の8分の1が処分対象です。
退職金の支給見込額とは、自己破産をした時点で仮に退職した際に支払われる金額のことを指します。

自己破産後に免除されること、されないこと
免除されること
自己破産をすると、借金・奨学金の返済が免除されて、滞納していた際の取り立ては止まるので差し押さえによる訴訟は中断されます。
借金の返済
破産と免責を申し立てる自己破産では、借金が免責されゼロになるので手続きが完了すると返済義務がなくなります。
奨学金の返済
進学のために奨学金制度を利用してお金を借りていた場合は、奨学金も借金の一種です。
自己破産では、借金の返済が免除されて奨学金もゼロになるため、返済が免除されます。
ただし、本人の返済は免除になりますが、保証人や連帯保証人を立てて奨学金を借りていた場合は、保証人や連帯保証人に対して一括で返済するよう請求の連絡がいきます。
連帯保証人を使わずに機関保証制度を利用していた場合には影響がありません。取り立てがなくなる
自己破産をすると、裁判所によって借金の免責の許可が下りて返済義務が法的になくなるため、貸金業者からの取り立てもなくなります。
訴訟されなくなる
借金を滞納しているのに取り立てを無視し続けた場合、貸金業者が訴訟を起こして、財産を差し押さえようとする恐れがあります。
しかし、自己破産をすれば借金がゼロになって返済も免除されるため、貸金業者が差し押さえの訴訟を起こされる恐れはなくなります。
また、すでに差し押さえの訴訟を起こされている場合でも、破産法第44条第1条にしたがって差し押さえの訴訟が中断されます。
免除されないこと
自己破産では、借金の返済が免除されて取り立てや訴訟がなくなります。
しかし、自己破産では免除されない支払いもあります。
税金、罰金などの支払い
自己破産で免責が認められるのは、借金や奨学金の返済だけなので、各種税金・罰金・社会保険料の支払いは引き続きおこなわなくてはなりません。
養育費の支払い
養育費とは、子供が自立するまでに必要な生活費や教育費などを指し、子供と一緒に暮らしている親に対して支払われますが、養育費は借金ではない債務ですので自己破産をしても養育費の支払いは免除されません。

自己破産後にできること、できないこと
自己破産には手続き後できなくなることもあれば、手続きをしても今までと変わりなくできることがあるので、後々困らないように、何ができて何ができないのかをしっかり理解したうえで、自己破産の手続きを進めることが大切です。
できなくなること
養育費の受け取り(半分のみ)
養育費を受け取る側が自己破産した場合、養育費の半分は財産の処分対象となります。
しかし、子供の養育に関わることから現実的には全額が受け取れるケースもあります。
借金やローン(10年間)
自己破産をするとブラックリストに載ってしまうので、貸金業者から借金をすることやローンを利用して大きな買い物をすることは原則できません。
ブラックリストに載るとは、信用情報機関に事故情報が登録されることです。
信用情報機関とはクレジットカードやローン、借金を利用している人の個人情報や返済情報などを登録している機関のことで、事故情報とは延滞や債務整理をした情報です。
自己破産から10年が過ぎれば事故情報が信用情報機関から削除されるので、貸金業者からの借金やローンの利用が可能になります。
特定の仕事に就くこと(破産手続中のみ)
自己破産の手続き中は、資格の利用に制限が生じるため、特定の仕事に就けなくなります。
- 自己破産の手続き中につけない職業・資格
- ・弁護士・司法書士・行政書士・公認会計士・税理士・弁理士・土地家屋調査士・不動産鑑定士・社会保険労務士・中小企業診断士・通関士・建築士といった士業と呼ばれる仕事と、宅地建物取引主任者・旅行業務取扱主任者・公証人・商品取引所会員・人事院の人事官・国家公安委員会委員・都道府県公安委員会委員・検察審査員・公正取引員会委員・教育委員会委員・建設工事紛争審査委員会委員・簡易郵便局・貸金業者・質屋・生命保険募集人・損害保険代理店・証券会社外務員・有価証券投資顧問業者・旅行業者・警備員・警備業者・通関業・宅地建物取引業者・建設業者・産業廃棄物処理業者・外国証券業者・風俗営業者・風俗営業所の管理者 など
他にも、自己破産手続き中の人は、後見人や後見監督人、補佐人や補助人、遺言執行者、企業の取締役にもなれません。
ただし、自己破産の手続きが終わって免責が認められれば復職することは可能です。
住居の移転(破産手続中のみ)
自己破産の手続きをおこなっている間は居所を固定する必要があるため、裁判所の許可なしに住居の移転することは認められていないので、引越しができません。
しかし、裁判所による免責の許可が下りて自己破産の手続きが完了すれば、移転が可能となります。
家賃債務保証会社の利用
賃貸借契約の際には、部屋を借りている本人が家賃を支払えなくなったときに備えて、連帯保証人による保証が必要となる場合があります。
家賃債務保証会社が連帯保証人に近い役割をするケースもあって、家賃債務保証会社を利用するには審査が必要ですが、審査において信用情報を使っている場合は、家賃債務保証会社が利用できなくて部屋を借りられないことがあります。
ただし、信用情報を使わない家賃債務保証会社であれば自己破産しても利用できます。
7年間は自己破産できない
自己破産を1度したら7年間は次の自己破産ができません。
ただし、10年間はブラックリストに載っていて借金できないので、自己破産ができないことで困ることはほとんどありません。
給与所得者等再生(7年間)
債務整理には自己破産以外にも、借金を最大で90%カットする個人再生があって、手続きは小規模個人再生と給与所得者等再生の2つに分けられます。
小規模個人再生とは継続的な収入を得られる見込みがある方、給与所得者等再生は給料を貰っている方を対象としています。
2つの手続きのうち、給与所得者等再生は自己破産後をしてから7年間おこなうことができません。
ただし、小規模個人再生は手続きが可能なので、個人再生が一切できなくなるわけではありません。
クレジットカードが持てない
自己破産の手続きをすると信用情報機関に事故情報が登録されるため、新規のクレジットカードを作ることができません。
また、クレジットカードをすでに契約していても、自己破産の手続きすると解約になるので使えなくなります。
ただし、自己破産をしてから10年経って事故情報が削除されていれば、借金やローンと同じようにクレジットカードも利用できるようになるので、クレジットカードを持てるようになります。
できること
自己破産ではできなくなることもありますが、自己破産をしても影響がないこともあります。
資産は持てる
自己破産の手続きが完了した後に、稼いだお金や貯めたお金は全て本人のものです。
資産ができたからといって、後から返済を求められることはありません。仕事はできる
自己破産中は就ける職業に制限がありますが、自己破産後は制限がなくなるので問題なく仕事をすることが可能です。
そもそも制限がある職業はかなり限定的なので、一般的な会社員であれば仕事ができなくなくなることはありません。
部屋は借りられる
入居時の審査や保証の際の審査に信用情報を使う管理会社や家賃債務保証会社を利用しなければ、賃貸借契約に信用情報は関わらないため、自己破産後に部屋を借りることができます。
通帳は作れる
自己破産をおこなうと預金も処分対象となるので口座が解約になることがありますが、手続きが終われば口座を作ることができます。
年金は受け取れる
自己破産は国から支給される年金には影響しないので、自己破産をしたからといって年金が受給できなくなることはありません。
選挙権、被選挙権はある
自己破産をしたからといって選挙権、被選挙権が失われることはありません。
今まで通り、投票や立候補が可能です。
引っ越し
手続き中は、居所を固定する必要があるため原則引越しができませんが、自己破産の手続きが終われば自由に居所を移転できます。
出張や旅行
住居の移転ができないのと同じように、自己破産中は居所を固定しなければならないので、出張や旅行ができませんが、手続きが終わればこれまで通り出張や旅行が可能です。
また、自己破産をすると海外旅行ができなくなるといわれることがありますが、手続きが終われば問題なく海外旅行ができます。
スマホの契約
自己破産をしても、携帯電話やスマートフォンを購入することが可能です。
ただし、購入代金を分割で支払う場合は、支払いが問題なくできるか信用情報を利用して判断しているので通らないこともあります。
携帯電話やスマートフォンを購入する際は、機種代金を一括で支払う必要があります。
生活保護の申請
自己破産をしたことは生活保護の申請に影響ないので、自己破産をした後でも生活保護を申請して給付を受けられます。
個人事業・自営業の存続
自己破産では、事業で使っている備品は換価処分の対象となっていますが、事業そのものには影響しないので、事業を継続することは可能です。

自己破産をすると起こること
自己破産をすることで様々なことが起こります。
官報に公告される
官報とは国が発行している機関紙で、自己破産をすると氏名・住所が官報に掲載されます。
官報を読めばどこの誰が自己破産したかわかってしまいますが、そもそも官報が一般人の目に触れる機会がほとんどないので、官報に掲載されたからといって周囲の人に自己破産の事実が知られてしまう可能性は低いです。
郵便物が調査される
自己破産の際に、一定の財産がある、財産や借金状況などの調査が必要と判断された場合、破産管財人が選出されます。
破産管財人が選出された場合は、調査のため破産管財人に郵送物が転送されて確認されます。
ただし、破産手続きが終了すれば破産管財人に郵送物が転送されることもなくなります。
破産者名簿に載る(免責不許可の場合)
自己破産では破産の申し立てと免責の申し立てがおこなわれますが、破産の手続きを開始するための破産開始決定が出ても、免責が認められなかった(免責不許可)場合、破産者名簿に本籍や氏名が載ってしまいます。
ただし、免責が認められた場合には破産者名簿には載らないので、破産者名簿に載ってしまうのはごくわずかなケースです。
また、仮に免責不許可で載ったとしても破産者名簿は公開されていないのでほとんど読まれることはありません。
保証人に返済義務が生じる
自己破産において返済の義務が免除されるのは、破産した本人だけです。
保証人や連帯保証人を立ててお金を借りていた場合、自己破産をすると保証人・連帯保証人に返済義務が生じて、請求がいきます。
保証人や連帯保証人への請求がいってしまうと、保証人や連帯保証人は一括返済しなければなりません。
返済が難しい場合は保証人も自己破産することになることが多いので迷惑がかかってしまいます。
自由財産以外は処分される
自由財産とは、自己破産手続きをする人の財産の中で処分対象とならない財産のことです。
主に、99万円以下の現金や家具・寝具などの生活必需品、1ヶ月の生活に必要な食料、実印や仏像などが当てはまります。

自己破産後の家族への影響
自己破産をして家族にどんな影響が出るのか心配する方も多いですが、基本的に自己破産の影響範囲は手続きした本人だけなので、直接的に家族に影響が出ることはありません。
ただし、自己破産をすることで間接的に家族に影響が出ることはあるので、ご家族がいる場合はどんな影響が出るのか理解してしっかり話し合う必要があります。
住まい
家族が住んでいる住宅の名義が自己破産した人になっている場合、自宅は換価処分の対象となります。
また、マイホームではなく賃貸物件に住んでいて契約時に敷金があった場合は、敷金が処分の対象となるため、賃貸借契約が解約になることがあります。
自動車
自動車の名義が自己破産した人なのであれば、自動車の価値次第で処分対象になります。
住んでいる地域によっては移動手段がなくなることが懸念されます。
クレジットカード
クレジットカードには、本会員の家族に対して発行できる家族カードがあります。
家族カードを使っている場合、名義や支払いの口座は本会員のものになるため、本会員である家族が自己破産をしたときは家族カードが使えなくなります。
自己破産した本人以外の名義であればクレジットカードも家族カードも新たに作れますが、支払い能力を推察する属性情報(勤務先や年収、持ち家に住んでいるかどうかなど)次第では家族の名義でもカードが作れないケースもあります。
各種ローンに通らなくなる
自己破産をすると最大10年間、ブラックリストに載るのでローンが組めなくなります。
特に、住宅ローンや自動車ローンが組めなくなると、将来設計が崩れる可能性があります。

自己破産後の生活はどうなるのか
自己破産すると財産すべてを失うという情報が出回っていますが、すべてを失うというのは誤った情報です。
99万円以下の現金や生活必需品などは手元に残すことが可能で、職業の制限を受けるのはほんの一部です。
借金がゼロになる代わりに生活ができなくなるということは一切なくて、自己破産後に得た収入や資産は手元に残せます。
自己破産では少なからず影響が出てしまいますが、どの程度の影響が出るのかは財産状況にもよるので相談者様ごとに異なります。
自己破産ができるかどうか、生活への影響はどの程度かなど、自己破産に不安がある方は専門家にご相談ください。
司法書士法人杉山事務所では無料相談をおこなっていますので、借金問題でお悩みの方はぜひご利用ください。
過払い金請求、債務整理は無料相談をご利用ください。






















